希少性が高く腐食しない金は、古くから通貨や宝飾品として用いられ、また、加工しやすく電気抵抗率が低いため、パソコンなどの電子工業用素材としても堅調な需要があります。
世界の主要な金市場(ロンドン?香港?東京?ニューヨーク)で絶え間なく取引が行われ、国際商品としては、原油と並ぶ経済指標の一つとして注目されています。実物資産として発行体の破綻リスクが存在しないため、有事の際には、資産の緊急避難先(ラスト?リゾート)としての役割を果たします。
日本では1982年(昭和57年)3月に東京金取引所で現物先物取引(標準取引)が開始され、1984年11月の東京ゴム取引所及び東京繊維商品取引所との統合後の存続会社である東京工業品取引所にその運営が引き継がれました。その後、2004年5月に先物オプション取引、2007年7月に現金決済先物取引(ミニ取引)がそれぞれ追加され、2013年2月の東京商品取引所への社名変更を経て、2020年7月にその運営が大阪取引所に移管されました。
(※)金標準先物は消費税抜き価格で取引が行われており、受渡しを行う場合は消費税が課されます。
アジア市場では金は1kgバーを念頭に置いた1グラム当たりの価格表示で取引が行われています。一方、欧米市場は100トロイオンスバーを念頭に置いた1トロイオンス当たりのドル建て取引が行われております。ちなみに1トロイオンスは31.1035グラムです。
金の現物市場で中心的な位置づけを占めているのが、ロコ?ロンドン市場です。「ロコ」というのは、「置き場」あるいは「???渡し」という意味で、「ロコ?ロンドン」とは、「ロンドンでの受渡条件の取引」ということになります。ロコ?ロンドンの取引ルールはイングランド銀行の監督下にあるLBMA(London Bullion Market Association)と呼ばれる貴金属ディーラーが加盟する自主規制団体により決定されています。
ロンドン時間の10時30分と15時に発表されるLBMA Gold Priceが金の現物価格の世界的な指標となっています。